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Fatal Beauty [ALPINA story]

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---------------- B8 4.6 それは1つの終焉であり、ALPINAが施した危うい境地での止揚とも例えられるモデルである


歴代のALPINAのモデルにあって、on base E36 のモデルほど進化/変遷を見たものは無い


B6 2.8/2 : 248ps/5900rpm, 29.6mkg/4700rpm

B3 3.0/1 : 256ps/5700rpm, 32.6mkg/4400rpm

B3 3.2 : 271ps/5800rpm, 33.6mkg/4400rpm

B8 4.0 : 315ps/5700rpm, 41.8mkg/4500rpm

B8 4.6 : 340ps/5700rpm, 48.9mkg/3900rpm


ALPINAの個性が際立ち、engineeringが極まりつつあったあの時代、あろうことか、E36という同一のbaseに、異なる5機のengineを投入/換装しているのだ


この類例の無いengine開発への傾注は、何を示唆するものであるのか ALPINAがALPINAである所以として、どのような合理性を以って解釈でき得るものなのか



・・・・・・・ 自ずとここに1つの疑問が湧き上がることになる



「ALPINAには、迷いがあったのだろうか?」と ................



B3 3.2 とともに駆けることを決意するに至るプロセスの中で、そして、ALPINAが発するunderなstatementへの理解が徐々に深まりつつある中で、この問い掛けを心底においてずっと反芻し続けてきた



2年という月日は、例えすべてを投げ捨てるまでの覚悟を以ってして寄り添い得たとしても、完全な理解に至るには、無論、十分な年月ではない


しかし、straight-sixのfinal-specであるB3 3.2、そして、on base E36のfinal-modelであるB8 4.6 を手元に並存させながら過ごしてきたこの2年間の先に、朧げながら見えてきた景色がある



それは、迷いなどではなく、可能性の追求に他ならない、という結論めいた示唆 フィールとしてリニアに立ち上がる解釈



モンスター・コンパクトと称されるB8を日本人のエンスージアストが語るとき、必ず「フロントヘヴィ」というワードが付き纏う オーナーとなる幸運に恵まれる前、私もそんなイメージを抱いていたように思う


だが、近似した条件/制約とするために個人的な趣味/嗜好を差し置いて同じ銘柄のタイヤを履かせるなど、ALPINAへの礼儀を失しないようなささやかな配慮を重ねつつ、2年という月日と距離をともに重ねてきた結果、そうした先入観は杞憂であったことを思い知るに至った・・・


B3 3.2 も、B8 4.6 も、ALPINAの生産哲学と巧みなengineeringによって、極めて高いレベルでバランス取りが施されていて、そこには迷いが反映される余地など無いと結論付けられるほどのリニアなフィールが見い出せる 過渡期/端境期というワードは、いずれのモデルにも似つかわしくない



恐らく、純真な技術者が、ある意味、愚直と評されてしまいかねないスタンスで真摯に対峙し、己が技を一心に突き詰めた結果、E36のシャシーとボディの類い稀なる可能性を見い出していったのだろう 



E36/ALPINAの変遷は、可能性の追求が自ずと齎したものであり、V8の選択も合理性に適う必然であったに違いない



B8は、フロントヘヴィでも、トルクでdriveするグランツーリスモでもない B3 3.2 で至った均衡点を、敢えて自ら崩してまで換装したV8の、まるでジェット・エンジンのようなE36ボディには異質に薫るサウンドノートと、その息吹きとしての微かなバイブレーションに包まれながら、B3 3.2 のそれよりも、数段精緻なアクセルワークによって初めて引き出せるリニアなレスポンスを追求するに足る奥深さを有している


その境地に感覚的反応として自然/容易に達せられるドライヴァーにしか見い出せない高度なバランスが仕組まれているのだろう 一切のミスや甘え(機械/機構への依存)、そして先入観を受け付けないレベルにまですべてが研ぎ澄まされている 技術と感性の研磨が、希有な極みを齎しているのだ



E36/ALPINA、その終焉を飾るB8 4.6 こそ、ALPINAの帰結であり、極みの境地として美しく、そして妖しく咲く、淡い夢幻の軌跡/奇跡だ その美と佇まいは、危うい均衡を成し、破滅的な狂気に幽かに宿る、哀しいほどにリアルな倒錯美にも似ている・・・


B8という現代に途絶えた媚薬/系譜は、洗練さとengine開発上の制約/呪縛によって世代とモデルを経るごとに個性がマスキングされつつあるALPINAを、時代を超えて密やかに裏打ちする最高のスパイスだ ----------------


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