sechs zylinder [touren]
珍しく朝靄に包まれる中央道を西へ -------
完全バランスのストレート・シックス、そしてNAでしか奏でられないサウンドノートを美しく響かせながらPAに入ってきたALPINA Roadster classic を迎えて、イグニッションを捻る
まだ肌寒い朝の冷気に心地よさを感じる巡航速度で、5機のsix-sylinder を目覚めさせていく
勝沼ICを降り、ここはターンパイクかと錯覚する程の高速ステージを擁する、改装の進むR411の南斜面を、一気に頂へと駆け上がる
決して全開にはできない、Rが連続的に変化していくループ橋のような高速コーナーを、リアのグリップに神経を集中させ、ギリギリのアクセルワークで踏み込んでいく -------
僅かに流れ出すリアを落ち着かせて、これではサウンドノートを楽しむ余裕なんてないな、と苦笑しながら臨む次のコーナー手前でミラーを仰ぐと、Yas Marina Blue のM4とALPINAらしからぬ戦闘的なフロントマスクのB3 GT3が、そして、朝陽を反射させて白く輝くALPINA Roadster classic と鮮やかな対比をみせるブルーの981 boxser が、綺麗な弧を描きながら続いている
冷気を切り裂く程の疾走感と躍動感に満ちたフォルムを残像に残しつつ、これから始まるタイトなステージに意識を向けていく
暫しクールダウンの後、痺れるほどのディスタンスを、2機のフラット・シックスと3機のストレート・シックスとともに、ノンストップでダウンヒル
ブラインド、アンジュレーション、逆バンク、綺麗なライン取りを決して許さない幅員、そしてporscheのブレーキをもってしても徐々にコントロールの幅が薄くなっていく程の高負荷 -------
何度敢行しても攻略などできるはずもない、この厳しいダウンヒルステージのクリアラップ程、痺れるものはないが、ミラーに映し出される、タイトなコーナーから抜け出てくる後続車の挙動は、すべて微妙に異なっていて興味深い
そして、微かなRで繋がれたトンネルに響き渡る5機のエグゾーストノートが、ドライヴァーにこれ以上ない程の興奮を齎す
漸く極度の緊張から解き放たれた湖畔のPAに、穏やかな陽光に似つかないファンの音が重なる -------
ステージを移したワインディングで、981 boxster のテールを追い駆ける
迷いを払拭したブルーのboxsterが、ミッドシップにしかできないクリップの取り方で軽快にコーナーを抜けていく
柔らかな新緑や陽光がブルーのボディに反射しながら漂い、揺れ映る様が美しい
幻影を見ているかのような錯覚に一瞬陥るが、その出自を隠せない、レーシングライクな咆哮を響かせながら追随する2機のFRが奏でる野太い低音に支えられたエグゾーストノートが、否応なく意識を現実に引き戻す -------
型式は異なっても、系譜を同じくするmiship porsche は、1.5車線幅のタイトなワインディングであっても、シンクロするかのように同じ挙動をみせるが、M4とB3 GT3 にも、似たような相似形が見出せる
暫し、フラット・シックスのエグゾーストノートとストレート・シックスのそれを重ねながら、ミッドシップ独自の挙動を愉しむ
やがて稜線を繋ぐ狭い林道の分かれ道で再び前に出ると、ブルーのミッドシップの幻影を追うかのように踏み込んでいく
・・・・・・・景色が、車窓に流れていく
木漏れ日がspyder のストリームライナーに反射して優しく滑るように流れる様は、きっと美しいことだろう
そのイメージを心底に描きつつ、シンクロするブルーのミッドシップを視界に入れながら、新緑に薫る風を流していく
フラット・シックスとストレート・シックスのエグゾーストノートを優しくブレンドしながら -------